わたしたちの地域 多様な声

挨拶から始まる地域のつながり、子どもを見守る日常の小さな一歩

Tags: 地域活動, 子育て, 見守り, 安全, 地域交流

地域の安全、それはどこか遠い話だと思っていました

日々の仕事と子育てに追われる中で、地域の情報にじっくりと触れる時間はなかなか持てずにいました。自治体からのお知らせや回覧板は、目を通すだけで精一杯という状況でした。子どもたちの安全はもちろん気になっていましたが、それは学校や地域の方が主体的に行うこと、自分のような忙しい人間には縁遠いことだと感じていたのです。

しかし、子どもが小学校に入学した際、学校からの配布物の中に「地域の見守り活動へのご協力のお願い」という案内が入っていました。それは、大げさなものではなく、普段の生活の中で子どもたちに声かけをしたり、通学路で安全に配慮したりといった、誰もができる小さな取り組みについて書かれたものでした。

まずは「挨拶」から始めてみました

案内に目を通した時、無理のない範囲でなら自分にもできるかもしれない、と思いました。特に、通勤や買い物で使う道が子どもの通学路と重なっていることに気づき、意識して子どもたちに挨拶をしてみよう、と決めました。

最初は少し照れくささもありましたが、「おはようございます!」と元気に挨拶を返してくれる子どもたちの声に、自然と笑顔になりました。毎日繰り返すうちに、顔見知りの子どもが増え、「〇〇さん、こんにちは!」と声をかけてくれる子も出てきました。

小さな一歩が広げる地域の輪

挨拶を続ける中で、見守り活動をされている地域の方や、同じように子どもたちに声かけをしている保護者の方とも、自然と挨拶を交わすようになりました。最初は「おはようございます」だけだったのが、「今日は寒いですね」「もうすぐ運動会ですね」といった短い会話に発展することもありました。

特別な活動に参加しているわけではないけれど、毎日少しだけ早く家を出て通学路を歩いたり、帰宅時間に合わせて近所を歩いてみたりと、できる範囲で子どもたちの様子に気を配る時間を作るようになりました。そうすると、地域の中で子どもたちがどのように過ごしているか、危険な場所はないかといったことに目が向くようになり、漠然とした不安が具体的な気づきに変わっていきました。

また、地域の方々が長年にわたって子どもたちの安全を見守ってくださっていることへの感謝の気持ちが深まりました。私自身の小さな一歩が、地域全体の安全という大きな取り組みの一部につながっていることを実感できたのです。

無理なく続けるために大切なこと

子育てや仕事との両立を考えながら、この活動を無理なく続けるために工夫していることがあります。それは、「完璧を目指さない」ということです。毎日決まった時間にここにいなければならない、といったルールを自分に課すのではなく、通勤や買い物など、普段の生活動線の中で「少しだけ意識する」ことから始めています。

体調や仕事の状況によってはできない日があっても、「今日はできた」という日を大切にするようにしています。こうした柔軟な姿勢が、長く続けるための鍵だと感じています。

日常の中に安心とつながりを見つける

子どもたちの安全に関心はあったけれど、具体的な行動に移せていなかった私が、ほんの少しの意識と「挨拶」という小さな一歩を踏み出したことで、地域の中に安心できるつながりが生まれました。子どもたちの元気な声に励まされ、地域の方々の温かさに触れるたび、このまちで子育てができることへの感謝を感じています。

特別な時間を作るのが難しくても、日々の暮らしの中でできることはたくさんあります。まずは、お子さんと一緒に、あるいは通勤途中などに、地域の方や通学中の子どもたちに挨拶をしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、そこから地域の新しい一面が見えてくるはずです。