わたしたちの地域 多様な声

地域の畑で土に触れる体験から得られた、子どもの成長と地域との新たなつながり

Tags: 地域活動, 子育て, 農業体験, 自然体験, 多世代交流

身近な自然との接点を探して

日々の生活の中で、子どもに自然と触れる機会をどのようにつくることができるか、漠然と考えておりました。公園で遊ぶことはもちろんですが、土や植物に触れ、育てるという経験は、子どもにとって貴重な学びになるのではないかと思ったのです。そんな折、地域で小さな畑の一部を開放し、住民が野菜などを育てることができるという活動があることを知りました。

地域とのつながりが生まれた畑での体験

初めて畑を訪れた日、まだ小さな区画でしたが、そこにはすでに地域の方々が和やかに作業をされている姿がありました。私たちの区画には、種まきや苗植えの手順が書かれた説明書きが添えられており、初心者でも始めやすいように配慮されていました。

子どもと一緒に畝を作り、小さな種を蒔き、そっと土をかけました。最初は土を触ることに少し抵抗があったようですが、すぐに慣れ、夢中になって作業に取り組んでおりました。隣の区画で作業されていた方が、植え方のコツや水やりの方法などを優しく教えてくださり、地域の方々との自然な交流が生まれました。

週に一度、子どもと畑に通う日々が始まりました。小さな芽が出た時の喜び、虫に葉っぱが食べられてしまった時の残念な気持ち、収穫の時の達成感。畑には、子どもの心を揺り動かす様々な出来事がありました。

畑を通じて見えてきたこと

この畑での活動を通じて、子どもにいくつかの変化が見られました。まず、普段食べている野菜がどのように育つのかを知り、食に対する関心が高まりました。自分で育てた野菜を収穫し、食べる喜びは格別だったようです。また、土や植物といった自然に触れる機会が増え、小さな変化にも気づく観察力が身についたように感じます。

私自身にとっても、この畑での体験は大きな発見でした。地域には、長年家庭菜園をされている方、地域活動に積極的に関わっている方など、多様なバックグラウンドを持つ方々がおり、畑という場所が自然な形で交流の場となっているのです。地域の知恵や経験を学ぶことができ、また、同じように子育てをしながら参加されている方と情報交換をする機会も得られました。

もちろん、課題もありました。仕事や子育ての合間を縫って畑に通う時間を見つけること、天候に左右されること、虫や病気への対策など、予想以上に手間がかかることもありました。しかし、地域の方々に助けていただいたり、子どもと一緒に試行錯誤したりしながら、一つずつ乗り越えることができました。

身近な「地域」との関わり方

この体験を通じて感じたのは、地域との関わり方は、大規模なイベントへの参加やボランティア活動だけではないということです。身近な場所で、自分のペースで、少しずつ関わりを持つことから始めることもできるのだと気づかされました。そして、そこから予期せぬ学びや、新たな人のつながりが生まれることがあります。

地域の畑での体験は、子どもの成長を間近で見守ることができるだけでなく、私自身が地域の一員であることを改めて感じさせてくれる貴重な機会となりました。もし、地域の自然や人とのつながりに興味をお持ちでしたら、お近くの畑や市民農園などの情報も調べてみてはいかがでしょうか。そこから、新しい発見があるかもしれません。